記事: HERMÈS Cape Cod Automatic — 3本のヴィンテージ、それぞれの表情
HERMÈS Cape Cod Automatic — 3本のヴィンテージ、それぞれの表情

エルメス〈ケープコッド〉の自動巻きモデルが3本入荷しました。
1991年、アンリ・ドリニーによって生み出されたCape Cod。
その特徴的なケースは、エルメスを象徴する〈Chaîne d’Ancre(シェーヌ・ダンクル)〉のリンクから着想を得たもの。「長方形の中に正方形」を描くという発想から生まれた、エルメスらしい遊び心を感じさせるデザインです。
スクエアを基調としながら、上下に伸びるケースのラインにはどこかジュエリーのような軽やかさがあり、そこに伸びやかなアラビア数字が重なります。
一目でCape Codとわかる個性がありながら、決して華美ではない。
時計とジュエリー、そのどちらにも寄りすぎない独特の佇まいは、誕生から長い年月を経た現在でも古さを感じさせません。

そしてCape Codを語るうえで欠かせないのが、マルタン・マルジェラの存在です。
エルメスのウィメンズ・プレタポルテのアーティスティック・ディレクターを務めていた1998年、マルジェラはCape Codに、手首を二重に取り巻く〈Double Tour〉ストラップを取り入れました。
現在ではCape Codを象徴するデザインとなったドゥブルトゥールも、この時代に生まれたものです。
今回入荷した3本には、いずれもマルジェラ期の刻印を持つエルメスのストラップが合わせられています。
ブラックレザー、赤みを帯びたブラウンレザー、そしてブラウンスエード。それぞれ異なる色や素材が揃い、Cape Codという時計とストラップの関係を楽しんでいただけるラインナップとなりました。

グレー文字盤にブラックレザーを合わせた一本は、色彩を抑えたシックな佇まい。
深みのあるグレーの中に白く縁取られたアラビア数字が印象的に浮かび上がり、シルバーのケースとのコントラストによって、Cape Codならではのグラフィカルなデザインがよりシャープに引き立ちます。

ホワイト文字盤には、赤みを帯びたブラウンレザー。
明るいダイヤルと温かみのあるレザーのコントラストが美しく、クラシックでありながら軽やかな印象です。端正なケースデザインもより際立ち、3本の中でも明るく品のある表情を見せてくれます。

そしてもう一本は、グレー文字盤にブラウンスエードを合わせた一本。
滑らかなレザーとは異なる起毛したスエードならではの柔らかな質感が、端正なステンレスケースに温かみのある表情を添えています。
こちらにはさらに、鮮やかなオレンジカラーの替えストラップが付属します。
落ち着いたブラウンスエードからオレンジへ。ストラップを替えるだけで印象が大きく変わり、エルメスならではの美しい色彩を楽しめるのも、この一本ならではの魅力です。

こうして3本を並べてみると、同じCape Codでありながら、文字盤の色やストラップの素材、カラーによって、それぞれがまったく異なる表情を持っていることに改めて気づかされます。
その日の服に合わせて靴やバッグを選ぶように、時計も文字盤やストラップで選ぶ。
Cape Codは、エルメスの時計の中でも特にファッションとの距離が近い存在なのかもしれません。
さらに、今回の3本はいずれも自動巻き。
ジュエリーのようなデザイン性だけでなく、腕の動きとともに時を刻む機械式時計ならではの愉しさも備えています。
ヴィンテージは、同じモデルであっても、その時々で出会える文字盤やストラップ、そして組み合わせもさまざま。
今回は、それぞれに異なる魅力を持つ3本のCape Cod Automaticが同時に揃いました。
3本を一度に見比べながら選んでいただけるのも、今だからこその愉しみです。
ぜひそれぞれの表情を見比べながら、ご自身の装いにしっくりと馴染む一本を見つけていただけたらと思います。