〜ドゥブルトゥールからステンレスモデル、サイズ別の魅力、マルジェラ期の希少性、そして近年の進化まで〜

ケープコッドの誕生と特徴

エルメスを代表するウォッチコレクション〈ケープコッド〉は、1991年に当時のデザイナー、アンリ・ドリニー（Henri d’Origny）によって誕生しました。
その最大の特徴は、エルメスのアイコンであるアンカー（錨）の鎖「シェーヌ・ダンクル」をケースデザインに取り入れたこと。
丸と四角を融合させた独自のフォルムは、シンプルでありながら個性を放ち、ブランドのエスプリを象徴する存在となっています。

ドゥブルトゥール（二重巻き）の魅力

1998年、デザイナーのマルタン・マルジェラがエルメスのアーティスティック・ディレクターに就任すると、ケープコッドに革新的な変化が訪れます。
その代表が〈ドゥブルトゥール（二重巻き）〉のストラップです。
通常のストラップを二重に手首へ巻きつける仕様は、時計を“時を知る道具”から“モードなアクセサリー”へと昇華させました。
細身のレザーストラップが手首を美しく縁取り、シンプルな装いにも洗練されたアクセントを加えてくれます。
ユニセックスで楽しめるデザインとして、現在も高い人気を誇ります。

ステンレススチールモデルの都会的な魅力

ケープコッドといえばレザーストラップの印象が強いですが、ステンレススチールブレスレットのモデルも高い評価を得ています。
ケースと一体となったブレスレットが放つメタリックな輝きは、ジュエリーのように洗練された存在感を持ち、都会的でモダンな印象を演出。
ビジネスからフォーマルまで幅広いシーンで活躍します。

サイズ別の選び方

PMサイズ（23×31mm前後）

最も汎用性が高いサイズで、男女問わず人気。
オン・オフを問わず幅広いシーンで活躍します。

GMサイズ（29×41mm前後）

存在感のあるラージサイズ。男性に好まれる傾向がありますが、女性があえてオーバーサイズ感を楽しむのもモードな選択肢です。

ナンタケット

ケープコッドから派生した〈ナンタケット〉は、縦長の長方形ケースが特徴のモデルです。
「シェーヌ・ダンクル」モチーフを受け継ぎつつ、よりエレガントで女性的な印象を放ちます。
ブレスレット感覚で楽しめるデザインとして人気を集め、特に女性の手元にしなやかに馴染む時計として愛されています。

マルジェラ期のデザインと希少性

1998年から2003年までの間、マルタン・マルジェラがエルメスのアーティスティック・ディレクターを務めました。
この時期のケープコッドは、ミニマルかつ実験的な美学が反映されており、現在ではコレクターズアイテムとして特別な評価を得ています。
代表的な「ドゥブルトゥール」もこの時期に誕生し、時計をファッションアイテムへと昇華させた象徴的なデザインです。
また一部には自動巻きの希少なメンズモデルも存在し、ヴィンテージ市場では高値で取引されることも珍しくありません。

近年のインターチェンジャブル（取り外し可能）モデル

近年のケープコッドは、クラシックな魅力を守りながらも現代的な実用性を取り入れています。
その代表例が「インターチェンジャブル（取り外し可能）ストラップ」。
ワンタッチで簡単にベルトを取り外せる仕様が導入され、複数のストラップを気分やシーンに合わせて付け替えられるようになりました。
時計本体だけでなく「ストラップを選ぶ楽しみ」まで含めて提案する、現代的なケープコッドの魅力です。

まとめ

ケープコッドは、エルメスのクラフツマンシップとデザイン哲学が結晶したタイムレスなコレクションです。
ドゥブルトゥールは“モード”と“遊び心”を、ステンレスブレスは“都会的な存在感”を、サイズ展開は“それぞれの個性”を、そして近年のインターチェンジャブル仕様は“スタイリングの自由度”をもたらします。
とりわけマルジェラ期のモデルは、革新性とミニマルな美学ゆえにコレクター垂涎の存在。
一本を選ぶことは、単なる時計選びではなく、あなたのライフスタイルを映し出す選択です。